Ride on the Cloud

Ride on the Cloud

Released
Type
EP
  • Life Will Work Well (7:47)
  • Breathe (5:40)
  • Ride On The Cloud (5:21)
  • Tomorrow (2:58)
  • Winter Spins (3:17)

Lyrics

Life Will Work Well

※ 日本語で書き直したバージョンはいずれ。

Breathe

向こうまで流れるよ記号が
揺れ動く朝日が
夢に見たような円の中に

集う影、連なる間違いを
手慣れた笑顔を
夢に見たような線を辿る

眩い未来 たまには見たい

向こうからは満ち足りた声や
戸惑う声が
夢で聞いたような返事をする

膝が崩れたその日から
意外な方から
夢で知ったような意味を迫る

眩い未来 たまには見たい

息さえ削られた夜が
空のほつれが
美しさの孕む謎を映す

見込まれた借り物を捨てた (兆しが問う)
今日はさよならを言える気がして声が詰まる

眩い未来 たまには見たい

※ 後年に日本語で書き直したバージョンのテキスト。

Ride On The Cloud

願ってないような
事が散々起こっているとき
ひとり
うわの空の模様

単純に誠実さを
失ってしまっているとき
ひとり
うわの空の模様

ゆっくり消えた
目印の記憶を探して
ひとり
うわの空の模様

世界の更新を
片隅で繰り返している
聴けよ
うわの空は困る

正論が正論が
溢れて全てが
曇ってる曇ってる
うわの空の模様
うわの空の模様
うわの空の模様
うわの空の模様

※ 後年に日本語で書き直したバージョンのテキスト。

Tomorrow

Instrumental

Winter Spins

些細な会話な筈が歪む
赤色の赤色の
何かが光っている
そうしてためらいまた
都合次第な
返事を繰り返してる

合図する眠そうな振りに夜毎
土砂降りに土砂降りに
消えた街みたいに
目覚めた確信を奪い
都合次第な
返事を繰り返してる

渦巻く2人

※ 後年に日本語で書き直したバージョンのテキスト。

Intro

otomの2006年1月1日リリースによる、5曲入りEP『Ride on the Cloud』。キャッチーなポップソングを軸にしつつ、曲の構成や音の置き方に小さな工夫を重ねていくEPシリーズの第2作にあたる。本作は、4曲の親しみやすい歌ものと、1曲の荘厳なインストゥルメンタルで構成されている。 素朴で覚えやすいメロディを中心に、ループフレーズの使い方や展開など、さりげない実験が散りばめられており、聴き進めるうちに少しずつ景色が変わっていくような流れを持ったEP。身近なポップソングのかたちを保ったまま、足元がふっと浮くような瞬間を残していく、その感触がこの作品の核になっている。

Note

5曲で構成されたEP『Ride on the Cloud』は、最初から最後の曲までが切れ目なく連なり、ひとつの小さな物語のように進んでいく構成になっている。前作EPのラストトラック『Grapes』から受け継がれたモチーフを起点とする『Life Will Work Well』から、荒々しい音と甘い旋律が交錯する『Breathe』を経て、独特のリズムが高揚を生む『Ride on the Cloud』へと至る。そこから、静かな余白をつくるインストゥルメンタル『Tomorrow』が流れを整え、最後は親密なフォークソング『Winter Spins』がそっと着地する。 それぞれの曲は異なる表情を持ちながらも、音の質感や構成、モチーフがゆるやかに呼応し合い、ひとつの風景を描き出すEPとなっている。

1. Life Will Work Well

『Life Will Work Well』は前作『The Night in the Rainbow』(2005)収録の『Grapes』の続編にあたる楽曲。『Grapes』がスタインベック『怒りの葡萄』の主人公トム・ジョードを題材としていたのに対し、本作は彼の“おっ母”の側をテーマにしている。 逆回転のエレクトリックピアノとノイズによるリズムから始まり、やがて規則的なビートとベースの反復が加わる。ノイズ混じりの声やクリアなエレピのフレーズが重なり合い、音は次第に奥行きを増していく。 やがて一呼吸ののち、アコースティック・ギターとオルガンを主体に、『Grapes』と同じコード進行が再び現れる。終盤には同じコーラスメロディが左右から響き、曲は次のトラックへと自然につながっていく。 約8分にわたり、前半のインストゥルメンタルから後半の歌へと移ろう構成が、このEP全体の導入としての役割も果たしている。

2. Breathe

『Breathe』は前曲のテープ逆再生によるSEからそのままつながり、フィードバックで歪んだアコースティック・ギターと、抑え気味のドラムがリズムを刻みはじめる。そこへ甘いボーカルが入り、やがてコーラスも重なっていく。 全編を覆うフィードバックの荒々しさと、歌のやわらかさ、そして演奏の強弱。その対比によって成り立つ、緊張と親密さが同居した楽曲。

3. Ride on the Cloud

『Ride on the Cloud』は本EPのタイトルトラック。前曲から間髪入れずに始まる。歪んだアコースティック・ギターとドラムによる、8/8拍子の独特なリズムが曲を牽引する。 初期otomの大きな特徴でもある、「Aメロ的なフレーズだけで曲を展開させる」手法が、ひとつの到達点を迎えたメロディライン。コーラスやエレキギター、オルガン、そして演奏の強弱によって、同じフレーズが少しずつ色を変えていく。終盤にはメロディアスなベースラインも加わり、同一構成のまま、音の明るさがさらに変化していく。 やがてブレイクを挟み、拍子は4/4へと転じ、リズムは一気に激しさを増す。そこへ逆回転で引き伸ばされたギター音などが幾重にも重なり、音は渦を巻くように高まりながら幕を閉じる。

4. Tomorrow

『Tomorrow』は本作で唯一のインストゥルメンタル曲。深いリバーブをまとった、どこか憂いを含むピアノのフレーズから始まり、やがて雲間から光が差し込むようなオルガンサウンドへと移り変わる。そこにエレクトリック・ピアノのメロディが優しく重なっていく。 全体を通してローファイな質感に包まれた、約3分の小品。『Breathe』や『Ride on the Cloud』の荒々しいサウンドを受け止め、EPの流れをやわらかく整える役割を担う一曲となっている。

5. Winter Spins

スリーフィンガーで奏でられるアコースティック・ギターを軸にした楽曲。14歳頃から影響を受けてきたサイモン&ガーファンクル的なサウンドやメロディ感が、素直なかたちで表れた一曲でもある。 中盤では深いリバーブによって一瞬の荘厳さが挿し込まれ、終盤にはリンダ・スコットの楽曲を逆回転させたSEが現れるなど、約3分という短さの中にも実験的な仕掛けが散りばめられている。 親密なフォークの佇まいと、ささやかな逸脱。その両方を同時に感じさせる、EPの締めくくりにふさわしい楽曲。

Outro

『Ride on the Cloud』は、5曲を通してひとつの流れを感じられるように作られたEPです。メロディ、ノイズ、リズムの変化が少しずつ移り変わり、最初の曲から最後の曲までが自然につながっていきます。ささやかな変化を辿りながら、お楽しみください。

『Ride on the Cloud』はBandcampで配信中。高音質版の購入も可能です。