Melody of Second Year

Melody of Second Year

Released
Type
EP
  • Hundred Steps (Nomal) (4:17)
  • Bizarre Love Triangle (3:18)
  • Itsumo No Komithi De (3:45)
  • Hope (5:59)

Lyrics

Hundred Steps (Nomal)

ふわふわと漂う
もの言いたげなやつ
まるで昨日を損なうように
見えないとこで見えないとこの
ざわめきを今感じている

正しい事 正しい事をしたい
正しい人 正しい人でいたい

くらくらと瞬く
あるべきな姿
たぶん今日が 始まりの日
見えないとこで 見えないとこの
ざわめきの音を感じている

正しい事 正しい事をしたい
正しい人 正しい人でいたい

ぐらぐらと移ろう
固めかけた未来を
忘れてたあの日のように
見えないとこで見えないとこの
ざわめきはまだ感じている
少しずつ形を変える

正しい事 正しい事をしたい
正しい人 正しい人でいたい
捨ててしまえ 見せかけの時間
捨ててしまえ 錆び出した風景
とどまっては正しい事をしたい
正しい人 正しい人でいたい

※ 後年に"Normalize"として日本語で書き直したバージョンのテキスト。

Bizarre Love Triangle

New Order cover song written by Bernard Sumner, Peter Hook, Stephen Morris, Gillian Gilbert

From the album “Brotherhood” (1986)

Itsumo No Komithi De

Michiyo Azusa, Yasuo Tanabe cover song written by Rokusuke Ei, Hachidai Nakamura

Hope

Instrumental

Intro

otomの2006年11月15日リリースのEP『Melody of Second Year』は、otomの初期作品の中でも少し変わった一作。全曲アコースティック編成でありながら、どこか実験的な空気をまとった音像が広がる。前作3枚目のフルアルバム『Hereafter』(2006) からの流れで、より手触りの残る表現を志向し、壊れやすさや未完成さをそのまま封じ込めている。 New Orderと中村八大・永六輔コンビのカバー2曲に加え、ピアノのみのインスト曲『Hope』も収録。シンプルな構成の中に、otomの別の側面が垣間見える静かなEP。

Note

『Melody of Second Year』に収められた4曲は、完成形を目指すというよりも、「途中にある音」をそのまま留めていくような感覚で並べられている。冒頭には、別のかたちを思い描かれていた曲が、弾き語りという最小限の姿で現れ、そこから原曲の骨格だけを残したカバーや、言葉を持たないピアノ曲へと静かに連なっていく。異なる出自を持つ音たちが、同じ静かな場所に集められ、ここでは、整えられた作品というよりも、音が生まれた瞬間の温度や揺らぎに近いものが息づいている。

1. Hundred Steps (Normal)

2006年春頃に書かれた楽曲。もともとはドラム、ベース、エレキギターを用いた、シューゲイザー/ドリームポップ的なサウンドを想定して生まれた曲。その完成形に先んじて、アコースティックギターによる弾き語りバージョンが本EPに収録されている。

長らく未発表曲として眠っていたが、2018年にタイトルを『Normalize』と改め、原曲を再構築したうえでシングルとしてリリースされた。

2. Bizarre Love Triangle

1986年に発表された、New Orderの名曲『Bizarre Love Triangle』のカバー。本作に収録されているのは、アコースティックギター一本による弾き語りバージョンで、原曲が持つメロディの輪郭やリズムの感触を、極限まで削ぎ落としたかたちで提示している。シンセやビートに支えられた原曲とは対照的に、静かで脆い響きの中に、楽曲そのものの強さが浮かび上がる。曲の終わりには、弾き語りの演奏をそのまま逆回転させたテープ処理が加えられ、ささやかなSEのように余韻を残して終わる。

後年の2018年には、この曲をノイズのループとギターを軸にしたシューゲイズ・アレンジへと発展させ、原曲の印象的なリズムフレーズを強調しつつ、まったく異なる雰囲気に再構築。同日リリースのシングル『Normalize』とともに発表された。

3. Itsumo No Komichi De

中村八大作曲、永六輔作詞、梓みちよと田辺靖雄が歌った1963年の楽曲『いつもの小径で』の弾き語りカバー。原曲の持つ穏やかな情緒を土台にしながら、あえてレコードノイズを重ねたり、イコライジングで音を濁したりと、音そのものを“汚す”処理が施されている。 素朴なメロディと実験的な手触りが同居するこのアプローチには、otomらしい遊び心がはっきりと表れており、本作全体の持つ少し歪んだ空気感を象徴する一曲となっている。

4. Hope

約6分にわたるピアノ・インストゥルメンタル。アルヴォ・ペルトの『鏡の中の鏡』を思わせる、静かで優しい旋律から始まり、中盤には感情がせり上がるような激しいフレーズも顔を覗かせる。全体を通して抑揚を強く意識した構成となっており、簡素な音数の中で、時間の流れと感情の起伏がゆっくりと描かれていく。 整えすぎない響きや余白をそのまま残した佇まいもこの曲の特徴で、他のEP収録曲と同様に、完成度よりも瞬間の感触を大切にする本作の姿勢が、そのまま滲み出た一曲でもある。

Outro

EP『Melody of Second Year』は、アコースティックを基調に、どこか壊れかけたような揺らぎや不安定さを抱えた佇まいをひとつにまとめた作品。完成形よりも途中の感触を大切にしたその在り方は、otomの中でも少し異質でもあります。お楽しみください。

『Melody of Second Year』はBandcampで配信中。高音質版の購入も可能です。