Cycle
- Dice (5:59)
- Paradise (4:15)
- Lie (7:29)
- Mvsevm (3:40)
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Extra
Dice - Visual
Lie (Piano)
Cycle EP収録の『Lie』のピアノバージョン。『The Night In The Rainbow』制作直後にできた長らく未発表だったバージョンで、リリースあたり全てを再構築。 2021年11月19日よりBandcampとSoundCloudにて限定公開中。
Lyrics
Dice
とりあえず毎日をそれなりに過ごしている 行きたありばったりで気がつけば藪の中 未だに飽きもせず同じことを続ける 行き止まりばっかりで気がつけば藪の中 大好きなんてあまり関係ないそうだ 今日みたいな日にはそれも関係ないようだ 余計なものばかり集めては捨てている 有り余り過ぎていて気がつけば藪の中 大好きなんてあまり関係ないそうだ 今日みたいな日にはそれも関係ないようだ 始まりとおしまいの温度差をあっさり 忘れてしまうならいつまでも藪の中 いつまでも藪の中 いつまでも藪の中 大好きなんてあまり関係ないそうだ 今日みたいな日にはそれも関係ないようだ 関係ないようだ 関係ないようだ
Paradise
見える限り 正義が溢れてる 正義はどこにある どこら辺に 調和が含まれる 調和は遠過ぎる 途切れがちに 言葉が交わされる 言葉は中を舞う 僕はもう眠りたい ただ深く眠りたい 失った悔しさと 気付かない悔しさに背を向け 見える限り 正義が溢れてる 正義はどこにある
Lie
なんでって繰り返す日々は 大きな間違いだったんだろう 暗い通りを彷徨うふりだったの分かったよ 最近ほんの少しは君の事を分かったよ 何で痛いんだ 雪降る街 そこでどうしてたら今は そう云う風に割り切ったいつかよりは ひそやかに鍵をかけるよ 今ならば 曖昧で痛い… なんでってありきたりな問いは 絶えなくそこかしこに積もる 捉えては失う戸惑いの僕らは 少しだけ先の未来と過去ばっかり見ていた 目を覚ませよそれは太陽に向かう雲の柱 曖昧で痛い… そう云う風な答えでも嘘は嘘
Mvsevm
平気な振りをして 行き交う毎日 微笑は死んで行く あなたの視線で 誰も見えないただの色 僕はこれだけ持って行く 誰も見えないただの色 僕はこれだけ持って行く 光を求めて曲がるように 僕はこれだけ持って行く 染められた虚しさを どうする どうする
Intro
2021年11月5日リリースの『Cycle』は夏秋冬春の4つのイメージと4つの演奏スタイルで四季を表現したotomのアコースティック作品。 浮遊感のあるギターサウンドで作品を発表し続けているotomによる、様々な要素を削ぎ落とし、楽曲そのものの魅力を追求したEP。 4曲のほとんどがボーカルとアコースティックギターを中心としたサウンドとなっており、今作はotom特有の楽曲アレンジは最小限にとどめられ、より根源的な方向を意識している。また、これまでの多層的なボーカルアレンジから、より純粋なトーンを重視した点も特徴。アルペジオ、ツーフィンガー、ストローク、スリーフィンガーのギタースタイルでそれぞれの曲のイメージを振り分けてもいる。世界と自分自身との距離を見つめ返す内容の歌詞とotomが影響を受けた’60年代のアシッド・フォークなどからジョン・ケイル等のエクスペリメンタルポップ、‘90年代のシューゲイズ、オルタナティヴシーンなどの要素を随所に吸収しつつ、少しクセになるタイプの楽曲を並べた一作。
Note
2021年11月5日リリースの『Cycle』は四季の移ろいや巡り合わせをテーマとした『Seasons』(2019)から更に踏み込んだ作品。 一曲の中での緩急や楽器編成のアレンジ、歌詞で四季を表現した『Seasons』から細分化し、『夏』『秋』『冬』『春』のそれぞれのテーマを元に楽曲を配置。今作は様々な楽器の多重録音は行わず、ボーカルとアコースティックギターを主な軸とした楽曲の流れで緩急をつける事を重要視している。各曲の演奏スタイル、最小の追加音色の効果的なアレンジでより根幹的な表現を追求。慣れ親しんだ手法から脱却し、肉付けされていない『曲そのものが持つ力』を引き出すべく制作された一作となっている。 前作『Novel / Timshel』(2021)リリースの前より季節に因んだアコースティックEPの構想を練っており、曲選別とスタイルの組み合わせを半年ほど模索した。過去作に収録された曲、未発表曲の中で思い入れが強く、メロディの美しいもの、その楽曲が作られた季節や背景、空気感を元に構成している。 『夏』から始まり、『秋』『冬』を経て芽生えを感じさせる『春』で締め括る並びは構想の初期段階から変わらずに、そのままの形で完成した。 楽曲決定の後、昨年末から基礎部分の録音を始め、『Novel / Timshel』後よりアレンジと編集を行う。各曲の音量やトーンの統一感を出すべく、ミックス、マスタリング作業に2021年の一夏を費やす結果となった。 いつもと異なるアレンジでありつつも、根幹の部分では作風が共通している事に改めて自己認識を深めたのが今作『Cycle』となる。
1. Dice
『夏』と刹那の幸福についてをテーマとした曲。オリジナルは2004年リリースの2ndアルバム『Voice Called From Within The Wall』に収録。このアルバムにおける核の一つとした曲で、『Cycle』では日本語歌詞にボーカルを変更したほか、多くの部分で再構築。2004年の5月に1stアルバム『November Morning』をリリースした後の夏のある朝に作曲。3種類のギターとボーカル、コーラスで構成。 流れる様なアコースティックギターのアルペジオとフレーズは10代の頃より慣れ親しんだ『Blackbird』等のポール・マッカートニーのギタースタイルに強く影響を受けている。また、ボーカルの合間に挿入されるエレキギターは当時20代の頃に頻繁に聴いていたシカゴの音楽家デヴィッド・グラブスのフレーズに影響を受けている。普段使用のシングルコイル系からレスポールのハムバッカーの太いトーンで遊び心を入れつつフレージングを行っている。そしてソロと肝の部分にはナイロン弦のクラシックギターで演奏。それらに包まれるようにして、いつもよりテンションを抑えたボーカルに柔らかいコーラスの構成となっている。 何かを続ける時に好きだけではやって行けない様々な事情がある。焦りであったり環境的な問題であったり、或いは好きを通り越して続ける事が生活の一部となっていたとしても時としてそれが苦痛になる事がある。そんな日々の中で、ふと見つけた全てを忘れる開き直りの瞬間、苦しい中にもそんなものが存在する発見と喜び、それらに身を委ねる事があったって別に良いじゃないと云う内容の歌詞となっている。そんな今作はotomの初期作品の中でも思い入れの強い曲の一つ。 2021年の春から夏にかけて再構築と録音を行い、『Cycle』のオープニングトラックとなる。
2. Paradise
夏の夕暮れから秋への移り変わりを描くSEから始まる『秋』と世の中の正義の在処についてをテーマとした曲。2011年頃に基本的なAパートのフレーズ、メロディを作り、長い間ストックされていたものをベースに2020年の秋頃に作曲した未発表曲。爪弾くスタイルのギターフレーズはotomの他の作品にも多く出てくる。『秋』の作品らしく、下降のギターフレーズでの展開をしつつ、上昇のメロディと自己問答的なスタイルで歌い上げている。 Bパートのギターフレーズ、メロディは2020年頃に今作の展開として作成。ギターとボーカルのユニゾンで強調されるメロディラインに対峙する様に掛けられたリバースエフェクトが特徴。アレンジを最小限にとどめたシンプルさを求め、冬に向かう物悲しさを漂わせる曲となっている。 世の中に溢れている耳触りの良いものや様々な偽善に対しての疑問、本音と建前が錯綜する世界によって落ち込んで行く疲弊。その中で眠りを求めると云う内容の歌詞であり、翳りを帯びた世界にそれでもまだ期待を捨てきれない哀しさを歌っている。 2021年の春から夏にかけて再構築と録音を行う。
3. Lie
吹き荒ぶ冬の風から始まる『冬』と良い嘘と悪い嘘をテーマとした曲。2005年1月リリースのEP『The Night in the Rainbow』に収録。シンプルなギターストロークの曲ながら、要所に配した決めフレーズと強弱、緩急を重視。2004年の身を切る様な冬の寒い日に作曲し、新たに書いた日本語歌詞の内容も同様に、ある冬の日の出来事、時が過ぎて初めて気付く決裂の分岐点と後悔や無力さについて歌っている。 柔らかいトーンのエレクトリックピアノのフレーズとアコースティックギターのストローク、ボーカル、コーラスが同時進行し、終盤にはオルガンが空間を埋めていく構成。少ないコードの中でメロディを展開させて行くotom初期作品でも頻繁に登場する手法で、そこから一つのコード展開で得られる最小にして最大の効果の狙いの元に作られている。 若さや無知による出口のない問答が主なテーマとなった歌詞で、そんな意地や幼さの結果失われたものについて歌っている。ボーカルの音程としては人生最後の高音の『レ』を含む曲になっている。 また、この曲は元々EP『The Night In The Rainbow』収録、更に日本語歌詞のシングルとしてもリリースされている『Hidden Sun』(2016)とも密接な関係のある曲でもある。ある日見た夢を歌った『Hidden Sun』の歌詞で表現される不安やメタファーがこの曲でも再び登場する。人生における浮き沈みは弧を描く様でいて、全ては周期的なものである。逆説的に考えれば春の訪れ、実感を得る為には冬の存在は必定であり避けては通ることができない。そんな意味合いから哀しみの曲がこの場所に存在している。
4. Mvsevm
雪解けと芽生えから始まる『春』と自分が選ぶべきもの、自我の目覚めについてをテーマとした曲。概要にも触れた通り、2010年頃に作曲し未発表となっていたもの。長らくタイトルが自身の名前の『otom』だった事もあり、メロディラインは自身のフェイバリットの一つでもある。このEPを制作する際に日本語歌詞へ変更している。草木や花が萌え出るかの様な風景をディレイを掛けたギターで表現したイントロから始まる。 音楽を始めた10代前半より未だに影響を受けているサイモン&ガーファンクルに倣ったスリーフィンガースタイルのギターに、こちらも強く影響を受けているザ・ビーチボーイズに頻繁に出て来るコード感が基本となっている。また、若干ドゥルッティ・コラム風の間奏は整然とした演奏と暴れるディレイとで生まれる心地良い不安定さを追求している。それらの上に切実なトーンで歌うボーカルが重ねられる。 流行に身を委ね、消費活動する事に疑問を持たない生活がある。それらを実感し、潮流に染まらず生きる新たな決意と抵抗と云う内容の歌詞となっている。迷走の末に選択した数ある中の一つの到達点へと辿り着き、思考の芽生えを持ってして『春』のイメージとした。形成されゆく堅固な鎧と意志の力を重厚感のあるストリングスで表現しつつ、次の季節の予感と共にエンディングを迎える構成となっている。 現在のタイトルはフラナリー・オコナー著『賢い血』の中に出てくるものから引用。読みは『ムヴシーヴム』でも『ミュージアム』でもお好きな方で。
Outro
これらの様な思いと意図を込めた新作EP『Cycle』になります。いつもの雰囲気とは少し異なり、ややクセのある内容ですが、四季と言うテーマによる統一感は大切にしています。願わくば、レナード・コーエンのように風化しない音楽、特定のジャンルに落とし込まれない音楽でありたいと云う意気込みで作りました。お楽しみください。
『Cycle』はSpotify、Apple Musicをはじめとする主要ストリーミングサービスで配信中。Bandcampでは高音質版の購入も可能です。