Film Fetish (OST)

Film Fetish (OST)

Released
Type
Soundtrack
  • Film Fetish Suite: Intro (0:45)
  • Film Fetish Suite: Rebirth (0:30)
  • Film Fetish Suite: Night Flight (4:12)
  • Film Fetish Suite: Interval1 (0:14)
  • Film Fetish Suite: Flight Night (0:45)
  • Film Fetish Suite: Interval2 (0:35)
  • Film Fetish Suite: Found Objects (2:07)
  • Film Fetish Suite: In Transition (2:19)
  • Film Fetish Theme (2:41)

Intro

otomの2013年5月10日リリース、通算11作目となるアルバム『フィルム・フェチ』。荒島晃宏監督による同タイトル自主制作短編映画のために制作されたオリジナル・サウンドトラック。多重録音によるアコースティックギターを中心に、映写機や映写室のノイズをサンプリングして構成。本作は複数の楽曲が連続して繋がる組曲形式で、劇中で使用された曲に加え、未使用曲やアウトテイクも含めてアルバムとして再構成されている。

Note

その昔、都内某映画館で一緒に働いていた『映画館のまわし者―ある映写技術者のつぶやき (SCREEN新書)』著者、荒島晃宏氏の監督作品、自主制作短編映画『フィルム・フェチ』のサウンドトラックを担当させて頂いた。

私が評価するのもなんですが、この荒島晃宏氏という人物、非常に個性的な人で、映画はもちろん音楽や美術にも造詣が深く、インターネット黎明期にはなかなかディープなウェブサイトを運営していたりと、とにかく多彩な人であります。 一緒に働いていた当時は映画や映写機の話よりもくだらない話ばかりしていた記憶の方が多いのですが、今でも続いているいくつかの習慣はこの人の影響だったりします。

そんな縁もあって、荒島氏よりサントラ制作の依頼を頂いたのが2012年の夏頃。長年音楽はやっているものの、映画のサウンドトラックを書くのはこれが初めて。正直できるのか不安ではありましたが、軽〜く承諾してしまいました。 その後、荒島氏は撮影や都内某映画館の閉館対応で多忙を極め、かたやこちらは秋から冬にかけてすっかり忘れていたのですが、この2月の終わりよりようやく制作作業に入ることに。

渡された映像には当然ながら音楽は入っておらず、監督が指定した挿入部分は見事なまでの無音状態。頭では分かっていたものの、つい音を探してしまうあたりに自分の経験不足を実感します。 ファミレスで監督と打ち合わせを行い、事前に脚本を元に作っておいたイメージトラックを基軸に展開していくことになりました。

普段は音だけを相手にDAWを立ち上げて思うがままに音を詰め込んでいくのですが、サントラの場合はそうもいかない。まず映像を読み込み、音の入るポイントを設定し、テンポ検出などの下準備を行う。 映像と音のタイミングというのはなかなか難しく、映像編集は必ずしも4/4のテンポで進んでいる訳ではないので、曲作りの段階からかなり悩まされました。とはいえ、画がガッと変わった瞬間に音がバッと入る気持ち良さというのはやはりある訳で、その辺りは岡本喜八的な快感を目指したりもしています。

なんとかラフテイクを完成させてOKを頂き、いざ正式な録音へ。ところが季節はすっかり春。宅録人間にとって自然音や生活音は最大の敵でもあります。連日のように吹き荒れる春の風に悩まされながら、マイク位置を工夫しては録音し直す毎日でした。

当初は2〜3週間で終わらせる予定が、結局まるっと1ヶ月かかってようやく完成。完成した音楽を映像に合わせて流して観た時は、なかなか感無量でした。

音楽は監督の「分かりやすい曲」というリクエストに応えてアコースティックギター中心で制作。ただしその裏では、しつこいくらいの多重録音やMax/MSPによる加工、細かなエフェクトなど好き勝手にやらせて頂いています。 中でも楽しかったのは、様々な映写機の音を素材にして作ったリズムトラック。この辺りはなかなか面白く仕上がったのではないかと思っています。

サウンドトラックの構成は、劇中の音楽と未使用曲をまとめた『Film Fetish Suite』と、エンドクレジットで流れる『Film Fetish Theme』の2部構成。映画とはまた少し違う流れのアルバムになっているので、映画とあわせて楽しんで頂ければ幸いです。 また、収録曲『Night Flight』は昔のアルバム『Voice Called From Within The Wall』(2004)に収録されていた曲のリメイクでもあります。そちらも聴き比べて頂ければと思います。

1. Film Fetish Suite: Intro

アルバムのオープニングはサンプリングした映写機の走行音から。映写機のモーター音やフィルムの回転音、逆回転のSEなどが重なりながら、次の曲へと繋がってく。

2. Film Fetish Suite: Rebirth

ほのかにスタッター処理を施したアコースティックギターによる小曲。劇中のシーンに合わせたタイミングで構成。

3. Film Fetish Suite: Night Flight

『Night Flight』はアコースティックギターの多重録音による、きらめくような響きを持つ楽曲。劇中のハイライトシーンでも使用されており、過去曲のフルリメイクでもある。オリジナルのバージョンはotomの2ndアルバム、『Voice Called From Within The Wall』(2004)に収録。

4. Film Fetish Suite: Interval1

劇中シーンのためのドローントラック。映写機のノイズと喧騒のサンプリングを使用。

5. Film Fetish Suite: Flight Night

『Night Flight』をもとにしたリミックス曲。劇中では使用されていない、アルバム用のトラック。

6. Film Fetish Suite: Interval2

劇中シーンのためのドローントラック。

7. Film Fetish Suite: Found Objects

『Found Objects』もアルバムのみに収録されている曲。もともとは『Night Flight』のシーンのために用意されたアウトテイク。

8. Film Fetish Suite: In Transition

『In Transition』はエンディングシーンのための曲。アコースティックギターとE-bowによる、やわらかくメロウな雰囲気の小曲。

9. Film Fetish Theme

映画『フィルム·フェチ』のテーマ曲で、エンドクレジットに使用。組曲とは別に用意した、キャッチーなインストゥルメンタル曲。多重録音で絡み合うアコースティックギターと、映写機や映写室のノイズをサンプリングしたリズムトラックで構成。久しぶりにギターに向き合って作った一曲。

Outro

本作『フィルム・フェチ』オリジナル・サウンドトラックは、映画のために制作された楽曲と未使用曲を再構成し、組曲形式のアルバムとしてまとめたもの。映写機のノイズや多重録音のアコースティックギターによるサウンドとともに、映画の世界観をお楽しみください。

『フィルム・フェチ』オリジナル・サウンドトラックはSpotify、Apple Musicをはじめとする主要ストリーミングサービスで配信中。Bandcampでは高音質版の購入も可能です。

About the Director

Profile

荒島晃宏 (センソージ・ロックこと荒島晃宏 / @kariyahikaru)

1963年愛知県生まれ。 現役の映写技師にして、文筆業、映画監督。インターネット黎明期よりディープなウェブサイトを運営するなど多彩な人物。 著書に『映画館のまわし者―ある映写技術者のつぶやき(近代映画社刊)』、雑誌月刊『江戸楽』にて映画紹介を連載中。

『フィルム・フェチ』

自主製作短編映画『フィルム・フェチ』公式ブログ

http://ameblo.jp/kariyahikaru/

『フィルム・フェチ』予告編